法律を学んだ人のキャリアとしてまず頭に浮かぶのは、弁護士や検察官、裁判官などいわゆる「法曹三者」や、司法書士、行政書士、弁理士などの士業を思い浮かべるのではないでしょうか。
一方で、企業の中の法務部や総務部の中で法律を扱う人材である、いわゆる「企業法務」というものが近年、「ワークライフバランス」の観点からも注目され、以前のような無資格者だけでなく、士業の資格を持つ方も「インハウスロイヤー」として勤務する方が増え始めています。
今回は、この「企業法務」の業務について、又、「企業」の法務人材になるにあたって参考となる書籍と就活サイトをご紹介したいと思います。
企業法務の魅力
企業法務の魅力としては、やはり企業の一員として、企業で起こる様々な事象について初めから終わりまで携われる可能性が高いことにあると考えます。
一般的に想定される「企業法務」とは、弁護士事務所が「企業法務」を担当する形かと考えますが、実際に企業から顧問弁護士に相談する内容は、事業の一部(かつ、突発的に発生したトラブルや事業開始に伴う導入部分)となるため、企業の中で何らかのプロジェクトが起きた場合であっても、当該ぷリジェクト全てに関わることはあまりないと考えます。
一方で、企業の法務ポジションとなっている場合には、企業の一員として、事業内容全てに関わる機会が持てるだけでなく、他部署とのかかわり方次第で、事業を推進する役割を担える(今日「戦略法務」と言われるような役割)点で、企業法務(特に「法務」ポジション)は、魅力的な仕事となります。
企業法務
では、具体的に、企業法務の仕事とは、どのようなものが思いつきますでしょうか。
法務としては主に大きく下記のような業務に分けられます。
- 契約法務
- 商事法務
- 法律相談
- トラブル・訴訟対応
契約法務
まず、契約法務とは、皆様もイメージがしやすい契約書などを作成・審査(レビュー、リーガルチェック)する業務となります。
契約書としましては、一般的な種類としましては、秘密保持契約書(NDA=Non-Disclosure Agreement)、売買契約書、業務委託契約書などが挙げられます。
これらの契約書について、企業のビジネスモデルや取引内容に合わせ、契約書を作成・審査することとなります。
特に法務未経験からスタートする方については、どのように契約書を読み進めればよいのか、どのような点を見ていけばよいのか、悩みやすい、不安になりやすい業務となる一方で、法務人材の土台となるような重要な業務となります。
※契約書作成・審査自分自身の経験としましては、特に5W1Hを意識していくことが大切であると考えます。
具体的には、①いつ(When)、②だれが(Who)、③どこで(Where),④どのような内容(What)について、⑤どのような目的のために(Why)、⑥どのように目的を達成したいのか(How)の項目にそってストーリー性をもって契約内容を理解していく必要があります。
商事法務
商事法務とは、株主総会や取締役会など会社の機関に関わる業務内容を扱う法務業務となります。
特にIPO(Initial Public Offering)を目指している企業や上場企業では、より重要な業務となります。
※スタートアップ企業やベンチャー企業では、基本的にIPOを目指していく構想がない限りは基本的には発生しない(書面上の作成のみ)業務になります。
法律相談
新規・既存ビジネス問わず役員、営業部門等からの相談に対し、法的観点から回答を行う業務となります。
特に複雑な事案や新しい領域に取り組んでいる企業においては、より頻繁に相談が来ることや、場合によっては弁護士との壁打ち(相談を行いディスカッションすること)や法務内で調査した結果を踏まえ社内セミナーの開催なども行います。
また、企業によっては、パワハラ・セクハラなどのコンプライアンス窓口業務を任されることもあります。
トラブル・訴訟対応
ビジネスを行う上で発生した法的トラブル(契約の相手方が履行してくれない場合や、債権回収や損害賠償請求、クレーム対応等)に際して、弁護士と協力してトラブル対応に当たる業務となります。
法務としては特に常日頃から、サービス提供者側として利用規約や営業業務の確認、ビジネス上の法的リスクの確認、法改正チェックなどを行い、サービスの利用者側としては契約書記載の金額、免責内容の確認、秘密保持義務、裁判管轄等トラブルが起きた際にすぐに対応できるよう、準備をすることが必要となります。
企業法務おすすめ書籍5選
企業法務としての第一歩を踏み出すにあたり、私自身が特に熟読したおすすめの書籍を5冊紹介いたします。
この5冊の書籍は、いずれも法務未経験の方が読む上で、身に付けるべき、マインドや業務への取り組み方、契約法務といった企業法務の土台となる知識を身に付けることができるおすすめの5冊となります。
ここからはじめる企業法務 未来をかたちにするマインドセット
ストーリー形式で、企業法務とはどのような業務なのか、またどのような点に気を付けて業務を行うかを学ぶことができる書籍となります。
入社する企業と業種が異なることもあるかと思いますが、企業法務としての第一歩を踏み出す方にとっては企業法務のイメージを固めるためにもおすすめの一冊となります。
新版 弁護士・法務人材 就職・転職のすべて
メインは弁護士の方の就職・転職となりますが、弁護士以外の法務人材にとっても、どのように就職・転職準備をすればよいのか、又、どのようなキャリアを描くのいいのかなど、特に法科大学院(ロースクール)を卒業した方で、初めて就職活動を行う人にとって目から鱗な情報が多いおすすめの書籍となります。
私自身も法科大学院卒業後、企業への就職活動を始めた際に、とても参考にした書籍となります。
特に、面接での逆質問の内容(面接の最後に応募者から、企業へ質問する時間)にどのような質問をすれば評価されるのかだけでなく、このような質問をするべきではない、など面接の際に避けるべき質問も記載がありとても参考になる一冊となります。
契約書作成の実務と書式(第2版)
初めて企業法務をされる方や、契約書を読んだことがない方が最初に読むべき最初の一冊の一つとなります。
特に当該書籍は私の顧問弁護士の複数の先生からもおすすめいただいており、法務未経験の方は必ず読んでおくべき一冊となります。
また、一定の経験を積んだ法務人材の方でも定期的に当該書籍を読むことで、自分自身の契約作成・審査レベルがさらに一段階と考えられます。
実践!!契約書審査の実務(改訂版)
前述の「契約書作成の実務と書式(第2版)」と合わせて、当該書籍もおすすめの一冊となります。
当該書籍は、前述の書籍と内容面では被る点はあるものの、より簡潔な文章で書かれており、また、掲載されている契約書の種類も企業法務において触れる機会が網羅的に記載されており、常にデスクの横において辞書代わりにできる一冊となります。
私自身が企業の法務として第一歩を踏み出す際、当該書籍を熟読し、又、契約書作成・審査をする際も一番参考にした書籍となります。
特に、契約審査に当たり、当初の条項内容から改正も踏まえ、修正を加えるべきかといった説明や実際の修正条項案も乗っており非常に使い勝手の良い書籍となります。
実践!!業務委託契約書審査の実務
前述の書籍と同様のシリーズとなり、当該書籍は特に「業務委託契約」に特化した書籍となります。
「請負」と「準委任」の違いからそれぞれの契約に当たり注意すべき点や、両契約書のハイブリット型の場合の対応など業務委託契約書を作成・審査するにあたり非常に参考となるおすすめの一冊となります。
私自身も企業において、多くの業務委託契約書を作成・審査するため、利用頻度が高く、おすすめの一冊となります。
法務人材おすすめ就職・転職サイト
多くの方にとって【就職・転職】は大きな人生の分岐点となるのではないでしょうか。
特に法務人材にとっては、どのサイトを利用するかによって得られる求人や年収に大きな差が生じやすいと考えます。
そこで、自分自身が利用している中でこの企業は絶対おすすめ!!と思えるおすすめ就職・転職サイトを紹介します。
MS-Japan
MS-Japanは、株式会社MS-Japanは運営する管理部門・士業に特化した転職サイトとなります。
特に特徴的なのは、管理部門・士業の中でも、各職種に特化したエージェントがおり、自分が求める職種に合ったエージェントより転職に向けたアドバイスや自身のキャリア・志向に合わせた求人を豊富な求人の中から紹介していただける点にあります。
高い専門性をもつキャリアアドバイザーがしっかりサポート|管理部門特化型エージェントNo.1【MS-Japan】また、多くの管理部門・士業の方が転職の際に利用することもあり、提供いただく求人先の企業内にもMS-Japan経由で入社される方も多く、どのような方が当該企業にフィットするか、求められているか、面接に向けた取り組み内容や当該企業での予想質問なども教えていただけることも当該サービスを利用する魅力かと考えます。
さらに、応募のしやすさも大きな魅力と考えます。
具体的には、事前に履歴書・職務経歴書を登録しておけば、紹介いただく求人があった際にすぐに応募ができます。
私自身も、未経験で法務として企業に入社した際は、当該サービスを利用して入社した関係で、特におすすめする転職サイトとなります。
弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】いかがだったでしょうか。
特に法務未経験の方に向けて、私自身が企業への就職活動や法務業務を行うにあたり、不安だった点で役に立った情報をまとめてみました。
これから企業法務を目指す方の参考になれば嬉しいです。
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